ステンレスの加工性について

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加工のしにくさ−金属特有の加工硬化

ステンレス鋼材の切削や研削、研磨を考えたとき、まず思い浮かぶのは他の材料に比べての「加工のしにくさ」です。もちろん、他にも難加工で知られる材料は数多くありますが、身近にあるものとしてはこのステンレスが代表格と言えます。また、クロムにより材料の表面にできる酸化皮膜(不動態皮膜)も加工性のしにくさには一役買っています。

加工硬化とは、平たく言えば「一定以上の力が加わると金属が硬くなってしまう」現象のことです。長時間の研削や切削作業を行っていると作業性が悪くなるのは、材料自体も硬化しているからと考えられます。またステンレス表面を保護している膜は、壊れるとすぐにまた生成される特徴を持つため、研磨にしても長時間かけたり、間をあけたりすると磨きにくくなることがあります。切れない工具を使う、切れ味の悪い砥石(ステンレスに適さない砥石や加工工具)を使うと、加工対象側には余計に負荷がかかりますので、加工硬化を起こしがちです。

一般の鉄鋼材料のなかには硫黄(S)を添加することで、加工性を向上させた快削鋼などもあります。同じように、ステンレス鋼材の中にも、加工性について考慮された種類もありますので、状況により使用を検討するとよいでしょう。

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