ステンレス管には、配管用、機械構造用のものが規格化されていますが、これらは鋼種ごとに製法が限定されている場合があるものの、製造方法を材料記号の末尾に記載することがあります。
というのも、鋼管の製法としては、平らな鋼板を筒状に丸めて、その端面を溶接、鍛接、電縫といった方法で接合するタイプのものと、鋼材がまだ熱い状態でパイプの中空を作り出すために鋼材中心に工具を通して押し広げることで継ぎ目がない管とするマンネスマン法といわれる製法があります。
鋼管としての性能は継目のないシームレスのほうが高くなりますが、コストも当然変わります。強度や腐食などに対する耐性の要求内容に応じて、溶接により鋼管として加工したものと、継目無(シームレス)によって鋼管に加工したものとを使い分ける必要があります。
こうした場合、ステンレス鋼管の鋼種を示す記号だけでなく、製造方法を示す記号表記が重要となってきます。
例えば、機械構造用ステンレス鋼管のSUS304TKAにつき、冷間仕上のシームレス鋼管を指定したい場合は、SUS304TKA-S-Cと表記することができます。
ステンレス管の製法 | 使用する製造方法の記号 |
---|---|
熱間仕上継目無鋼管 | -S-H |
冷間仕上継目無鋼管 | -S-C |
自動アーク溶接鋼管 | -A |
冷間仕上自動アーク溶接鋼管 | -A-C |
溶接部加工仕上自動アーク溶接鋼管 | -A-B |
レーザ溶接鋼管 | -L |
冷間仕上レーザ溶接鋼管 | -L-C |
溶接部加工仕上レーザ溶接鋼管 | -L-B |
電気抵抗溶接まま鋼管 | -E-G |
冷間仕上電気抵抗溶接鋼管 | -E-C |