フェライト系ステンレスの特徴

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フェライト系は熱処理を行ってもマルテンサイトのように硬化はしません。フェライト生成元素であるCr、Mo、Siなどが適度に調整されているため、高温下でもフェライトのまま存在します。つまり、焼きが入りません。またすべての状態で磁性があるため、磁石につきます。

このステンレス鋼材は、特定の温度下(475℃ぜい性)で「ぜい化現象」を起こすことで知られ、引っ張り強さや硬さが向上するかわりに、耐食性が劣化していきます。ぜい化(脆化)はこの場合、延性などが低下することを意味します。

代表的な鋼種として18Cr(俗に言う18クロムステンレス)と呼ばれるSUS430があります。一般にはマルテンサイトよりクロムの含有比率が高い鋼種です。耐食性はオーステナイトよりは劣りますが、マルテンサイトよりは高いです。溶接性もそこそこあります。また軟質で延性に富んだ材料でもあります。

フェライト系で特にクロム含有比率の高いSUS430系などは高温における耐酸化性に優れています。またオーステナイト系に比べて熱膨張係数が小さく、加熱冷却時の表面スケールの剥離も少ないとされます。フェライト系のステンレスの中には、Mo、Ti、Nb, Al, Siなどを添加することで耐食性や耐酸化性を改善したものもあります。

ニッケルを含まない鋼種のため、硫黄(S)を含むガスに対して耐高温腐食性が優れています。また、オーステナイト系の欠点でもある塩化物応力腐食割れが発生しないという利点があります。価格が安く、溶接性も悪くないので、800℃までの炉部品や化学設備にも利用されます。

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